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2011/02/11

ていねいな演奏って・・・?

「ていねいな演奏ですね」って言われたら?

自分の演奏に対して言われたんだったら・・・う~ん、まぁとりあえず嬉しいかな?
指は動かないし、万年練習不足だし、「才能」っていう二字とは完全に無縁だし、まぁとりあえず「ていねい」を心がけるくらいしかないでしょ。
いざ本番ってなっちまえば、その「ていねい」すら完璧にどっかに飛んでっちゃうけど。

でもね、この「ていねい」っていう言葉って・・・・・・

先週末、いわゆる「評価付きコンサート」なるものに付き添って来た。
今回、うちからの参加者は一人だけ。
いろんな先生の生徒さんの中に混じって聴く演奏は、なぜか怖いように私の音?
私と違うのはアガルらないこと。本番に強いって羨ましい。
無事弾き終わって私もホッ。
が、心にチクリと刺さる棘。これでホントによかった?

昨日このコンサートで頂いてきた「メッセージ」というのを見せてもらった。
思った以上に良い評価で、ご本人は嬉しそう。
だけど、私にとって重要なのはそこに書かれたコメント。

三人中お二人の先生のコメントに「ていねい」という言葉が計三回も登場。
やっぱりね・・・どうやら「ていねい」っていう言葉はうちの子たちの演奏を表現するための必須アイテムらしい。
実は、過去にも何人かの子供たちを同様のコンサートに参加させていただいているのだけれど、そこに書かれるのはいつも同じような言葉。

「表情豊か」「きれいな音」「好感のもてるていねいな演奏」といった言葉が並びその後に、「もっとワクワク感が出せたら」「この調子でテンポを上げるともっとチャーミングな演奏に」といった言葉が続くのだ。

それを読んで私は思う。「あぁ・・・・・・」
ワクワク感は元々なかったのではない、はじめから安全運転だったわけでもないのだ。

いろいろ相談して曲を決めて練習を重ねだんだん形になっていく頃、子供たちの演奏は粗削りだけどいきいきとキラキラしていた。
それを重箱の隅をつつくようなことをして、何か大事なものを摘み取ってしまったのではないか。

今回も、とても褒めていただいた後に「気持ちを育てるともっと」の一言があった。
でも当初、この子に「表現したい気持ち」は十分あった。

こぶしが回りすぎるような歌い方でも、指が回らないまま突っ走っていても、その気持ちを大事にもっと伸ばすことはできなかったか?
いや、それ以前に二カ月弱という短い練習期間にとらわれて「無難」すぎる選曲をしたのではないか?
心は痛い。

のびやかな演奏を聴くとうれしくなる。
今まで目にしたコメントの中で一番うれしかったのは、「スペインの夏の日のお昼、たくさんの人が楽しそうに海辺で遊んでいる様子が目に浮かびました」というもの。
この子は、私のしつこさにうち勝つ個性の持ち主だった。

でも、みんながみんなそういう強い個性の持ち主ではないのだから・・・
自分の至らなさに・・・というより、やっていく資格はあるかなって・・・へこむ。

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コメント

先生にとって重い課題ですよね。
でも「表情豊かに」「綺麗な音で」「丁寧に弾けて」いて、ご本人も全力を出し切って満足なら、わたしは良かったのではないかと思います。
それに、ととさんと同じ音で表現してくれるなんて嬉しいじゃないですか。すごい指導力があるのだと思いますよ。羨ましいです。
私の生徒でその少年と同い年で全然練習しないで全く弾けるようにならない男の子がいるのですが、私の責任は重いですなぁ。
あと、最近私よりセンスがある子には「この部分はあなたに任すから先生をびっくりするような感じに弾いてきて」とか言うと、すごく瞳が輝くので面白いなぁと思います。でも全然良くなってなかったりするのだけど。子供の目の輝きをみるのは楽しみの一つでもあります。

投稿: 松本極楽とんぼ | 2011/02/11 21:11

「丁寧な」という言葉に含まれる意味はいろいろあります
ものね。
素人の浅薄な考えですが、まだ人生経験の浅い子供たちの
勝手な表現でどれだけ先生方の心に響く演奏ができるのか
という疑問も・・・
まずは丁寧な演奏を心がけるのが大切ではないかと思います。
私の演奏はそれこそ雑なものなので、最近、もっと丁寧に
譜読みして練習しなければいけないなと思っています。

それにしても、教えたり指導したりするのって、本当に
難しいですね。

投稿: juncoco | 2011/02/11 21:26

>とんぼさん

コメントありがとうございます。
何だかへこんでおります。
「表情豊か」等々は、今回じゃなくて以前の中にそういった趣旨のものが多くあったっていうか、まぁ、言いたいことは最後にあってその前に一応肯定的なことも言っておこうかって…そんな感じ?
本当に言いたいのは最後の痛烈な一言だけかも。
それに「きれいな音」っていうのも「美しい響き」ではないですし。

>この部分はあなたに任すから先生をびっくりするような感じに弾いてきて
こういえるのは、生徒さんにも先生にも力があるから。
羨ましいです。

>全然練習しないで全く弾けるようにならない
あぁ、こちらの在庫はたっぷり…
それこそ今回のようなコンサート勧めたいのですが、絶対にいやだって~。

投稿: totoko | 2011/02/11 23:04

>juncocoさん

コメントありがとうございます。
ほんと、教えるって難しいです。juncocoさんも、英語教えてらしたんですよね。
私の場合専門教育受けたわけじゃないですし、ホントその資格があるのかなって…。

教えるというより教わることの方が多くて、自分がその立場に立って今まで言われ続けてきたことが身にしみてわかったりしてます。

子どもの頃、勢いだけで音ならしてるって言われ続けて、どの先生にも「あなたのは早く弾けてるんじゃない。ゆっくりじゃ弾けないのをごまかしてるだけ」よくいわれたのですが…
ある日そっくり同じセリフを繰り返している自分がいて「そういうことだったのかぁ~」って、気がつくの遅すぎ!
だから「ていねい」って大切なことだとは思うんですけど、やっぱり持って行きようは考えなくてはなりません。

juncocoさんの演奏ちっとも雑じゃないです。
エレガントで好きです。
頂いた楽譜は少しずつ弾いてます。いつかご一緒出来るのが楽しみ。
よろしくお願いします。

投稿: totoko | 2011/02/11 23:23

3人の先生のなかの2人からていねいな演奏と評価されたらそれはすばらしいことですよー。
審査員の先生に好まれた演奏だったと思います。

ワタシはずっとていねいな演奏を目指していますが、そう評価されたことはありません。
ていねいと言われるには読譜も解釈も技術も表現もしっかりしていなければそう聴こえないし、それが心から演奏できたときに初めてていねいな演奏と評価されると思います。


投稿: himitsu | 2011/02/12 00:27

んーとね、

「ていねいな」ってのはたぶん、一音一音を大切にしてるってことなんですよ。
それは学習途上にある生徒にはとっても大事なことなんだけど、同時に一音一音に注意が向かっていると音楽の要素であるまとまりを壊してしまいます。

ということを最近意識するようになったんだけど、ひとつのキッカケはわたしの尊敬するテノール歌手の方がたしか合唱について「縦の線を合わせる意識が強すぎて音楽が止まってしまう」という苦言を呈していたこと、もうひとつは復活した小澤征爾がリハーサルで「そこそんなに合わせなくていいから」という発言をしていたことでした。
このふたつの発言、突き詰めると同じことを言っているわけです。日本人の演奏にしばしば見られる「コレジャナイ感」を見事に要約してるんだけど、だからと言って「合っている」ことがいけないというわけでは絶対にありえない。なぜなら完璧なアンサンブルを聴かせると同時に音楽として優れている演奏はいくらでも例を挙げることができるからです。
問題は「合っている」ことではなく、「合わせようとすることに意識が行ってしまっている」ことにあるのです。

わかりやすい例を挙げるなら、メリスマ的なパッセージを考えてみてください。そのひとつひとつの音を、粒立ちを際立たせて強調させたら、すごく不自然に聴こえますよね?もちろんそういう表現が合っているケースもありますが、「ていねいに」ということを意識するあまりにそのような表現になってしまっているケースに、しばしば遭遇します。

でまぁ、演奏を磨き上げる過程として、「一音一音ていねいに」やる時期ってのは必要なんじゃないかと思うのですよ。
それがきっちりできるようになって、そこから「ていねいに」という意識を忘れてもそれができるようになったときにはじめてスタートラインに立てるわけで、それまでにもともと持っていた感覚とか感性とかそういうものを失わないようとっておいてそうなってから取り戻せばいいんじゃないでしょうか。若い時期なんだしポイントポイントで完成された演奏を求める必要はないんじゃないかと。

投稿: shig | 2011/02/12 01:50

>himitsuさん

コメントありがとうございます。
himitsuさんにそうおっしゃっていただけると嬉しいです。
ジュニアの場合、特に今回など一曲二分もないような短い間にコメントを書いてくださるわけですから「ていねい」という言葉の中に多くの意味が含まれているのだと思います。
マイナス面だけを感じてはいけませんね。

その点大人は曲が長いから、そういうコンパクトな言葉を使わずとも
きっと具体的なアドバイスがたくさん頂けるのでしょう。

今回、特にチーフの先生はジュニアにはやる気を引き出すコメントと評価を下さったのだと思います。
…そうそう、T田さんがスタッフしてらしてうれしいやら心強いやらでした。

投稿: totoko | 2011/02/12 07:56

>shigさん

コメントありがとうございます。
shigさん、こっそり私のレッスン室のぞいたことがあるんじゃありません?
そう書きたくなるぐらい、おっしゃっていただいたことに心当たりがあります。
「一音一音を大切に」「縦の線を合わせる」…よく口にしてます。あと「音の粒をそろえましょう!」っていうのも。
今回は特に「左右のバランスよく聴いて」っていうのと「縦の線がばらばらじゃない?こっちもよく聴いて」すごく言っちゃってました(汗)
自分には甘く、人には言いたいことを言う私(滝汗)

素直な子供ほど特に言われたことを忠実に実行しようとするあまり、意識がそこに集中してしまう気がします。挙句、音楽が不自然にタカタカしたりして次の週には正反対ともとれるアドバイスをしてしまい、混乱させてるなぁって。
「フレーズをもっと大きく感じて」っていう意味のアドバイスも一度ならず目にしているのですが、それもやっぱり同じことだと思います。

>一音一音に注意が向かっていると音楽の要素であるまとまりを壊してしまいます。

なんですよね。
最初のうちは実際にメロディーを声に出して歌ってみたりして、呼吸の確認をしたりしてるのに最後の最後で細部にこだわってそれをどこかにそれを置き去りにさせちゃっている後悔もあります。

うちはそれを専門として生きていこうっていう子が通う場所ではありません。むしろshigさんの後輩になった子は私が知る限りでも、5人いたりして…まぁ、距離的には一番近い大学ですから。

せっかく始めたピアノ、この機会に音楽を楽しめる子になってほしいなぁって!
思うことはそれだけなのですが、相手を信じておおらかに任せる部分があってもいいのかもしれません。

投稿: totoko | 2011/02/12 09:01

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